コンセプチュアル・アート
目次
概要

出典:wikimedia
Marcel Duchamp(マルセル・デュシャン)
1917, Fountain
コンセプチュアル・アートは、「どんな見た目か」よりも「作品が提示するアイデアや問い」を本体とみなすアートで、1960年代半ばにヨーロッパとアメリカで、モダニズム絵画の形式主義(フォーマリズム)や美術市場がモノに与える価値への批判から成立しました。
ジョセフ・コスース

出典:wikipedia
Joseph Kosuth(ジョセフ・コスース)
One and Three Chairs (1965)
ひとつと三つの椅子
この作品は、実物の椅子、その椅子の写真、辞書に載った「chair」の定義という三つを並べただけのものです。 物としての椅子/イメージとしての椅子/言葉としての椅子を対比させることで、「私たちは普段、モノをどのレベルで理解しているのか」を問う、認識の実験装置になっています。
ダン・グレアム

出典:MoMA
Dan Graham
Homes for America
1966-67
ハンス・ハーケ

出典:Whitney Museum of American Art
Hans Haacke(ハンス・ハーケ)
Shapolsky et al. Manhattan Real Estate Holdings, A Real-Time Social System, as of May 1, 1971
(インスティテューショナル・クリティーク)
マルセル・ブロータス



出典:wikiart
Museum of Modern Art, Department of Eagles
Marcel Broodthaers
Original Title: Musée d'Art Moderne, Départment des Aigles
Date: 1968
(インスティテューショナル・クリティーク)
ハンス・ハーケとマルセル・ブロータースは、コンセプチュアル・アートの流れの中で、美術館やギャラリー、国家や企業スポンサーといった「アートを取り巻く制度」そのものを作品の主題とした作家として知られています。 このような傾向を持つジャンルは、「インスティテューショナル・クリティーク」と呼ばれています。

出典:Artforum
Michael Asher(マイケル・アッシャー)
No title, 1973.
(インスティテューショナル・クリティーク)
出典:joetrip
Andrea Fraser(アンドレア・フレイザー)
Museum Highlights - EXCERPT
(インスティテューショナル・クリティーク)
《Museum Highlights: A Gallery Talk》(1989年)は、フレイザーが「ジェーン・キャッスルトン」という架空のガイドを演じ、フィラデルフィア美術館のツアーを行ったパフォーマンス&ビデオ作品です。セリフは美術館パンフレット・美術評論・カントの哲学書・上院議員の演説まで、さまざまな文書からの「引用の寄せ集め」で構成されています。美術品だけでなく、トイレ・カフェ・水飲み場・出口サインにまで大げさな賛辞を送ることで、美術館が特定の階級的価値観を「普遍的な教養」として観客に強いる権力構造を、ユーモアを武器に鋭く批判した作品です。
ソル・ルウィット
出典:MASS MoCA
Installing Sol LeWitt: A Wall Drawing Retrospective
ソル・ルウィット
ヨーゼフ・ボイス



出典:
7000 Oaks
Joseph Beuys(ヨーゼフ・ボイス)
ヨーゼフ・ボイスは、「社会彫刻」という考え方で、社会全体をキャンバスにしたアーティストです。1982年ドクメンタの長期プロジェクト《7000本の樫の木》では、都市に樫の木を植え続ける計画そのものを作品にしました。この試みでは完成した物体よりも、木を植える行為、時間の経過、関わる人々の対話や参加が作品の中心となり、「社会そのものを彫刻のように形づくる」というボイスの社会彫刻の思想が示されています。
河原温

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「日付絵画(Todayシリーズ)」
河原温
ジェニー・ホルツァー

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Jenny Holzer Truisms

出典:Guggenheim Foundation
Jenny Holzer Truisms
出典:Art21
Jenny Holzer in "Protest" - Season 4 - "Art in the Twenty-First Century" | Art21
ソフィ・カル

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The Hotel, Room 47
Sophie Calle(ソフィ・カル)
コンセプチュアル・アートは、モノの見た目や美しさよりもアイデアや問いを作品の本体とみなし、「何がアートか」「アーティストや美術館・市場の役割は何か」といった定義や制度そのものをテーマにする表現です。 デュシャンのコンセプチュアルアートやモダニズム批判を背景に、作品は完成品のオブジェではなく「問いを投げかける装置」として機能しました。
コンセプチュアルアート(その他アーティスト)

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Lawrence Weiner(ローレンス・ウィナー)
A Translation

出典:wikipedia
Daniel Buren(ダニエル・ビュレン)
Neues Museum Nürnberg

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Perspective Correction - My Studio II, 3: Square with Cross on Floor
Jan Dibbets(ヤン・ディベッツ)
Date: 1969

出典:wikiart
Wallpiece with blue mirror words
Robert Barry(ロバート・バリー)
Date: 2006

出典:wikiart
A Two-Dimensional Surface Without Any Articulation Is a Dead Experience
John Baldessari(ジョン・バルデッサリ)
Date: 1967
バルデッサリが「絵画とは何か」を問うために制作したテキスト絵画です。美術評論やハウツー本に出てくるフレーズをそのままキャンバスに文字として描き、しかも商業サインペインターに外注することで、「キャンバス+絵具」という絵画の形式だけを残しつつ、中身を純粋な言語に置き換えています。その結果、「何の工夫もない平らな面は、体験としては死んでいる」と宣言する言葉自体が絵画となることで、「ではこれは本当に“生きた”絵画なのか?」「何が作品をアートたらしめるのか?」という自己矛盾的な問いを生み出す構造になっています。コンセプチュアル・アートの初期を代表し、のちのアプロプリエーション的な実践の先駆としても位置づけられています。


