パフォーマンスアート
目次
マリーナ・アブラモヴィッチ

出典:wikiart
Imponderabilia
Marina Abramović
Date: 1977; Bologna, Italy
1970年代のパフォーマンスアートは、反戦運動や公民権運動、第二波フェミニズムの影響を受け、アーティスト自身の身体をさらして痛みや危険、屈辱を引き受けながら、「誰が語る権利を持つのか」「誰の身体が舞台に立つのか」を問うことで、性別や暴力、権力、制度といった問題を正面から可視化する表現として展開しました。
《Imponderabilia》(1977)は、二人が全裸で美術館入口の狭い通路に向かい合って立ち、来場者はそのあいだを横向きにすり抜けて入館します。 観客はどちらを向いて通るかを瞬時に選ばされ、自分の視線やジェンダー感覚、羞恥心を強く意識させられます。 ここでは、観客の動きと戸惑いの連なりそのものが作品になっています。
出典:Royal Academy of Arts
Marina Abramović | Imponderabillia
アンナ・メンディエタ

出典:Google Arts & Culture
Silueta series
Ana Mendieta1974

出典:wikiart
Untitled (from the Silueta Series)
Ana Mendieta
Date: 1976
《Silueta》シリーズでは、メンディエタが自分の身体の輪郭を大地に刻み、土や花、血や炎で満たすことで、自然と身体を重ねた「痕跡の像」を一時的に立ち上げ、やがて消えゆくその痕跡に、女性への暴力や亡命者としての居場所のなさ、祖国喪失の感覚を重ね合わせています。
クリス・バーデン

出典:wikiart
Shoot
Chris Burden
Date: 1971; United States
クリス・バーデン《Shoot》は、ギャラリーで友人に自分の腕を実際に撃たせ、その瞬間を記録することで、アーティストの身体にどこまで危険を負わせうるのかを突きつけつつ、ベトナム戦争下でテレビを通じて日常化した暴力イメージと、「撃たれることはアメリカ的経験だ」という感覚を浮かび上がらせた作品です。
ジョーン・ジョナス

出典:The Metropolitan Museum of Art
Organic Honey's Visual Telepathy
Joan Jonas American
1972
出典:TheHylian
Joan Jonas, Organic Honey's Visual Telepathy, 1972
ジョーン・ジョナス《Organic Honey’s Visual Telepathy》は、ビデオとパフォーマンスを組み合わせ、自身と仮面の分身「オーガニック・ハニー」が鏡やモニターに映る姿を演じることで、女性のしぐさやナルシシズム、メディアが作り出す女性像のステレオタイプを、多層的な映像空間の中で批評的に解体していく作品です。
スチュアート・ブリズリー

出典:STUART BRISLEY
12 Days, 1975
本作は、自ら木製ケージを組み立て12日間こもり、最後にそれを破壊して出る行為を通じて、「自ら作った檻」からの脱出として日常の抑圧や社会的制約を象徴したパフォーマンスです。
レベッカ・ホルン

出典:TATE
Arm Extensions
1968, Rebecca Horn

出典:TATE
Unicorn
1970–2, Rebecca Horn
出典:Tate
Rebecca Horn – Body Extensions and Isolation | Fresh Perspectives | Tate Collective
レベッカ・ホルンは、身体に装着するボディスカルプチャーによって、腕や角などを人工的に伸ばし、パフォーマーが歩き回る動きのなかで、身体の可動域や感覚を拡張しつつ、「自分の身体」と「周囲の環境」の境界がどこまで揺らぎうるのかを探った作品を展開しました。
1970年代のパフォーマンスアートは、痛みや危険、羞恥を通じて政治的な意味を帯び、観客は「安全な傍観者」ではなく、作品の一部または制作者や共犯者として巻き込まれる存在になっていきました。美術館やギャラリーは、中立な展示空間ではなく、人々の身体の動きや視線を管理する制度として浮かび上がり、その仕組み自体が作品の主題となりました。
