東京都現代美術館(MOT)完全ガイド|清澄白河の現代アート拠点、コレクションと建築・年表を読み解く
東京都現代美術館(Museum of Contemporary Art Tokyo、略称 MOT)は、東京都江東区三好の木場公園内に位置する、日本最大級の現代美術専門館です。
1995年3月開館。所蔵作品は約 5,800点(油彩・素描・版画・写真・彫刻・映像・インスタレーション・デザイン・建築資料)に及び、戦後日本美術と国際的な 現代アート を時代横断・ジャンル横断で見せる、日本の現代美術コレクションの中核施設です。
2016〜2019年の大規模改修を経てリニューアル開館。建築・コレクション・企画展・教育プログラム・図書室・ミュージアムショップ・カフェまで含めて、現代美術の総合拠点として国際的に評価されています。
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美術館の基本情報
| 項目 |
内容 |
| 正式名称 |
東京都現代美術館(Museum of Contemporary Art Tokyo) |
| 所在地 |
東京都江東区三好4-1-1(木場公園内) |
| 最寄駅 |
東京メトロ半蔵門線・都営大江戸線 清澄白河駅 徒歩9分 |
| 開館 |
1995年3月 |
| 建築設計 |
柳澤孝彦+TAK建築研究所 |
| 延床面積 |
約33,000㎡ |
| 所蔵作品 |
約5,800点(2020年代時点) |
| 運営 |
東京都・公益財団法人東京都歴史文化財団 |
| 休館日 |
月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始 |
沿革と年表
| 年 |
事項 |
| 1989 |
都美術館(上野)の現代部門を独立させる構想開始 |
| 1991 |
木場公園内での建設決定 |
| 1995 |
3月開館、「現代美術の社会化」を理念に |
| 2002 |
長谷川祐子チーフキュレーター就任、企画展刷新 |
| 2006 |
「カルティエ現代美術財団展」など国際協働拡大 |
| 2014 |
清澄白河駅周辺がコーヒー街・ギャラリー街として急成長 |
| 2016–2019 |
大規模改修工事のため長期休館 |
| 2019 |
3月リニューアル開館 |
| 2020– |
「現代の眼」コレクション展シリーズで通史的展示を強化 |
建築:柳澤孝彦の長大なホワイトキューブ
- 建築家・柳澤孝彦(1935–2017)の代表作の一つ
- 地上3階・地下2階、延床面積33,000㎡(日本の美術館で最大級)
- 長さ150mを超える「アトリウム」が中央軸を貫く
- 北側のサンクンガーデン、東側の彫刻広場
- 外観:花崗岩仕上げの直線的なモダニズム
- 展示室:可動壁・吹抜・高さ8mの大空間など可変構造
- 2019年リニューアルで照明LED化、ロビー・サイン刷新
コレクションの軸
- 戦後日本美術:具体美術協会、もの派、戦後抽象絵画
- 1960–70年代:ハイレッド・センター、九州派、コンセプチュアル・アート
- 1980年代:ニュー・ペインティング、横尾忠則、村上隆初期作
- 1990年代以降:草間彌生、奈良美智、村上隆、大竹伸朗、宮島達男
- 海外作品:アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタイン、ゲルハルト・リヒター、ジェフ・クーンズ
- 写真・建築:森山大道、荒木経惟、磯崎新、安藤忠雄資料
- デザイン:倉俣史朗、内田繁、佐藤可士和
- 絵本原画:エリック・カール、いわさきちひろ、宮西達也
常設展「MOT コレクション/現代の眼」
- 定期的にテーマ替えされる常設展示
- 戦後日本美術の通史を5,800点から再構成
- 絵画・彫刻・写真・映像・建築を横断的に
- 長谷川祐子・東文研出身の学芸員チームが企画
- 「現代美術の入門」としての教育的役割
代表的な企画展
- 「YES オノ・ヨーコ展」(2003):日本での回顧展の決定版
- 「川俣正 デイリーニューズ」(2008):屋外建築インスタレーション
- 「タイの新進アーティスト カオサーン展」(2011)
- 「マシュー・バーニー:拘束のドローイング」(2015)
- 「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」(2019):リニューアル開館記念
- 「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」(2019):ファッション・デザイン展
- 「百年の編み手たち:流動する日本の近現代美術」(2019)
- 「東京モダン生活:東京都コレクションにみる戦前期の文化と娯楽」(2018)
図書室と研究機能
- 美術図書室:和書・洋書を含む約11万冊、約350タイトルの逐次刊行物
- 展覧会カタログ・アーティストブックの充実
- 無料・予約不要で誰でも利用可
- パブリックドメインのデジタルアーカイブを順次公開
- 研究員による定期的なシンポジウム・レクチャー
清澄白河とMOT
- 江東区清澄白河は元・倉庫街、東京下町の風情
- 2014年ブルーボトルコーヒー1号店進出を契機に「コーヒーの街」に
- サードウェーブ系コーヒーショップ、ベーカリー、若手ギャラリーが集積
- 木場公園・清澄庭園・深川江戸資料館も近く文化散策に最適
- MOT の集客が地域経済にも波及
レストラン・ショップ・サンドイッチショップ
- 「100本のスプーン」:人気レストランブランドのMOT 限定店
- 「サンドウィッチショップ ニフ」:ベーカリー併設のカジュアル店
- ミュージアムショップ「NADiff contemporary」:現代美術書・グッズ専門
- 子ども向けのワークショップやデザイン関連グッズも充実
教育普及プログラム
- 「MOT スクール」:年齢別のワークショップ・対話型鑑賞プログラム
- 学校団体向け「キュレーターツアー」
- 毎月第3木曜日「夜開館」:金曜は20時まで延長
- 視覚障害者向けタッチツアー、ろう者向け手話通訳ツアー
- 「サードプレイス」としてのカフェ・図書室の積極活用
MOT の役割と他館との関係
- 森美術館(六本木、私立):話題性と国際企画
- 国立新美術館(六本木、コレクション非保有):大型企画展専門
- 東京都現代美術館:「コレクションを軸にした通史的展示」が特徴
- 東京国立近代美術館:戦前〜戦後をカバー、現代部門と接続
- 東京都美術館:上野公園、公募展中心
- 4館で東京の現代美術ネットワークを形成
訪問のおすすめ動線
- 清澄白河駅A3出口→清澄通り→木場公園経由で徒歩9分
- 到着後、MOT コレクション展(2時間)→企画展(2時間)→図書室・カフェ
- 夜開館の木曜は仕事帰りの大人向け
- 木場公園・清澄庭園・深川江戸資料館との半日コース
- 家族連れは絵本原画コーナーから入るのも良い
所蔵作品ハイライト
- 横尾忠則:1960–70年代のグラフィック作品、絵画への転向期
- 草間彌生:1960年代ニューヨーク時代の作品
- 大竹伸朗:スクラップブック・絵画
- 宮島達男:LED デジタルカウンター作品
- 奈良美智:1990年代の初期作
- 村上隆:「DOB 君」シリーズ、Tan Tan Bo 系
- ゲルハルト・リヒター:抽象画
- アンディ・ウォーホル:日本コレクション随一
批判と課題
- 立地(清澄白河)が観光導線から外れる
- 2016–2019年の長期休館がブランド連続性に影響
- 常設展示エリアの規模に比し企画展依存が高い
- SNS 時代の「映え」需要との両立
- コレクション収蔵庫の物理的限界
まとめ|東京都現代美術館(MOT)を読む視点
- 1995年開館、約5,800点を擁する日本最大級の現代美術館
- 柳澤孝彦設計の長大ホワイトキューブ建築
- 戦後日本美術の通史展示が独自の強み
- 清澄白河コーヒー街と一体化した文化拠点
- 2019年リニューアルで国際企画と教育プログラム強化
あわせて 戦後日本現代美術の全体像 や 森美術館、国立新美術館、もの派 を読むと、東京の現代美術ネットワークと MOT の位置がより立体的に見えてきます。
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