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アート史– category –

アート史とは:先史時代から現代までの人類の造形活動の通史

「アート史(美術史、Art History)」は、人類の造形活動を歴史的・地域的・社会的文脈の中で記述・解釈する学問・領域である。本サイトのカテゴリ「アート史」は、先史時代から現代までの世界美術を、地域・時代別に整理した網羅的な道案内として機能する。

美術史は単なる「作品リストの並列」ではなく、(1)造形が作られた社会・宗教・政治・経済の文脈、(2)作品の鑑賞・解釈・評価をめぐる継続的な批評史、(3)作品が現代まで保存・流通・展示される制度、を総合的に取り扱う。本カテゴリ TOP は、それぞれの時代・地域への入り口を提供する役割を担う。

主要トピック:4 大領域

1. 西洋美術

西洋美術カテゴリは、古代ギリシャ・ローマから現代まで、ヨーロッパ・アメリカを中心とする美術史を扱う。さらに、古代(古代ギリシャ・ローマ)、中世(中世ヨーロッパ)、ルネサンス(ルネサンス)、バロック・ロココ(バロック・ロココ)、新古典主義・ロマン主義(新古典主義・ロマン主義)、近代 19 世紀(近代19世紀)、近代 20 世紀前半(近代20世紀前半)、現代戦後〜(現代西洋戦後〜)の 8 つのサブカテゴリに分かれる。

2. 日本美術

日本美術カテゴリは、縄文時代から現代まで、日本列島で展開された美術史を扱う。古代(縄文・弥生・古墳)、平安、鎌倉・室町、安土桃山、江戸、明治・大正、昭和戦前・戦中、現代戦後〜の 8 つのサブカテゴリに分かれる。

3. 東アジア美術

東アジア美術カテゴリは、中国(古代〜唐、宋元、明清、近現代)と朝鮮半島の美術史を扱う。日本美術の母体・隣人として、独立に深い研究領域を構成する。

4. その他地域

その他地域カテゴリは、古代エジプト・近東、イスラム美術、インド・東南アジア、アフリカ、オセアニア、南北アメリカ先住民の美術を扱う。グローバル・アート史の視点で、欧米中心主義を相対化する重要な領域。

美術史の方法論

  • 様式史:作品の形態・構図・色彩・技法から「○○様式」を抽出し、時代と地域の特徴を整理する古典的方法。19 世紀ドイツ・ウィーン美術史学(ヴェルフリン、リーグル、パノフスキー)が原型。
  • 図像学(イコノグラフィー):作品に描かれたモチーフ・図像の意味を読み解く方法。エルヴィン・パノフスキーが体系化し、宗教画・歴史画の解釈に決定的影響を与えた。
  • 社会史的アプローチ:1970 年代以降、T. J. クラーク、グリゼルダ・ポロック、リンダ・ノックリンらにより、作品を社会階級・ジェンダー・植民地主義の文脈で再解釈する流れが主流化した。
  • 視覚文化研究:絵画・彫刻という限定的な「美術」の枠を超え、写真・映画・広告・ファッション・建築・デザインを含む「視覚文化全体」を研究する流れ。1990 年代以降の主要な拡張。
  • グローバル・アート史:欧米中心主義を批判し、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの美術を対等に扱う近年の方法。脱植民地的視点と関連深い。

美術史を学ぶ主要文献

書名著者初版位置
美術の物語(The Story of Art)E.H. ゴンブリッチ1950世界一読まれた入門書
美術の歴史(History of Art)H.W. ジェンソン1962欧米大学の標準教科書
イメージの歴史ハンス・ベルティング1990ビザンティン以降の図像論
視覚と認識マイケル・バクサンドール197215世紀イタリアの社会的視覚論
美術と幻影E.H. ゴンブリッチ1960知覚心理学と美術史の融合
図像学(イコノロジー研究)エルヴィン・パノフスキー1939図像学の古典
日本美術史辻惟雄2005日本美術の通史
奇想の系譜辻惟雄1970戦後日本美術史の転換点

美術史を学ぶ 3 つのアプローチ

美術史を体系的に学ぶ方法は、おおむね 3 つに分類できる。第一に「時系列アプローチ」。先史から現代までを年代順に追う最も古典的な方法で、ゴンブリッチ『美術の物語』、ジェンソン『美術の歴史』が代表的入門書。日本では辻惟雄『日本美術史』が同等の役割を担う。本サイトのカテゴリ構造もこの方式を基本に組まれている。第二に「地域・文化圏アプローチ」。西洋・日本・中国・インド・イスラム・アフリカといった地域別に深く学ぶ方法。1 つの地域に集中することで、文化的内部論理が立体的に把握できる。第三に「ジャンル・主題アプローチ」。彫刻史、版画史、肖像画史、風景画史、ヌード史、戦争画史といった主題で横断的に追う方法。リンダ・ノックリン『なぜ女性の偉大な芸術家がいなかったのか』(1971)以降、ジェンダー・植民地・労働といった視点で美術史を再構成する社会史的アプローチも、この第三の方式の派生形として展開している。本サイトの個別記事は、これら 3 つのアプローチの何れからも入れるように、カテゴリとタグの両方で網羅的に索引化されている。

美術館・博物館で実物を見る

美術史を学ぶ最重要の経路は、書籍と並行して実物を見ることである。日本国内の主要美術館・博物館は以下の通り:

海外の主要美術館では、大英博物館(ロンドン)、ルーヴル美術館(パリ)、メトロポリタン美術館(NY)、MoMA(NY)、ウフィツィ美術館(フィレンツェ)、プラド美術館(マドリード)、エルミタージュ美術館(サンクトペテルブルク)、台北の故宮博物院、北京の故宮博物院・中国国家博物館などが、それぞれの地域の美術史を体系的に観られる。

関連記事

続けて西洋美術または日本美術カテゴリを読むと、それぞれの時代別サブカテゴリへ深く進めるルートマップが見える。

美術史の主要時代区分(時代年表)

時代西暦主要な動き
先史・古代BC 30000-AD 500洞窟壁画/ギリシャ古典/ローマ/縄文・弥生/殷周青銅器
中世500-1400ビザンティン/ロマネスク/ゴシック/日本平安〜室町/中国宋元
近世前期1400-1600ルネサンス/日本桃山/中国明
近世後期1600-1800バロック・ロココ/日本江戸/中国清
近代1800-1900新古典・ロマン主義/レアリスム/印象派/後期印象派/日本明治
20世紀前半1900-1945キュビスム/表現主義/シュルレアリスム/バウハウス/日本画近代
戦後〜21世紀1945-現在抽象表現主義/ポップ/ミニマル/コンセプチュアル/具体/もの派/スーパーフラット

美術史を読む 5 つの視点

美術史を体系的に学ぶには、5 つの視点を意識すると効果的である。第一に「いつ・どこで作られたか」(時代・地域)。第二に「誰が・誰のために作ったか」(作家とパトロン)。第三に「何を表しているか」(主題・図像)。第四に「どう作られたか」(材料・技法・構造)。第五に「どう受け継がれたか」(評価史・所蔵史・現代の受容)。たとえば、伊藤若冲「動植綵絵」を観るときは、(1)18 世紀後半の京都、(2)若冲が相国寺に寄進、(3)30 幅の鶏・花卉・群魚(仏教的環境作品)、(4)絹本・裏彩色・桝目描き、(5)明治以降の長い忘却から戦後辻惟雄の再評価まで、という 5 つの軸を一度に把握すると、一作品が美術史全体の中でどう位置するかが立体的に見える。本サイトのカテゴリと記事は、この 5 視点を相互に行き来できる構造で組まれている。