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プラド美術館– tag –

マドリードの中心、レティーロ公園のほど近く。

新古典主義の長いファサードに、巨匠の名前が一文字ずつ刻まれています。

VELAZQUEZ — GOYA — MURILLO

これが プラド美術館(Museo del Prado)。スペイン王室が 5 世紀かけて集めた絵画の核心です。

プラド美術館とは

  • 所在:スペイン・マドリード、プラド通り
  • 設立:1819 年、フェルナンド 7 世が「王立絵画彫刻美術館」として開館
  • 建築:フアン・デ・ビリャヌエバ設計(1785 起工、1808 完成)、もとは自然史博物館として計画
  • 運営:スペイン文化省
  • 所蔵:絵画 8600 点超(常設展示 1300 点)、彫刻・素描・装飾を含めた所蔵 35000 点
  • 年間来館者:約 300 万人
  • プラド国立博物館と通称、近接の「ティッセン=ボルネミッサ」「ソフィア王妃芸術センター」と「マドリード美術三角地帯」

必見作品トップ 12

1.「ラス・メニーナス(女官たち)」ディエゴ・ベラスケス(1656)

  • 318 × 276 cm、油彩・カンヴァス
  • 第 12 室、プラドの最重要作
  • マルガリータ王女、画家自身、鏡に映る国王夫妻
  • 「絵画の絵画」と評され、ピカソ・ベーコン・ハミルトンらが繰り返し変奏

2.「ブレダの開城」ベラスケス(1634-35)

  • 第 9A 室、王宮ブエン・レティーロ宮殿装飾画として依頼
  • 1625 年スペイン軍のオランダ・ブレダ攻略場面

3.「裸のマハ」「着衣のマハ」フランシスコ・ゴヤ(1797-1800、1800-05)

  • 同一構図・同一モデルの裸体版と着衣版
  • 第 38 室・36 室で並列展示
  • モデルはアルバ女公爵説、宰相マヌエル・ゴドイの恋人ペピータ・トゥド説

4.「1808 年 5 月 3 日」ゴヤ(1814)

  • 第 64 室、260 × 345 cm
  • ナポレオン軍によるスペイン民衆銃殺の場面
  • ピカソ「ゲルニカ」、マネ「マクシミリアンの処刑」が直接引用

5.「黒い絵」連作(ゴヤ、1820-23)

  • 第 67 室、14 点連作
  • 「我が子を喰らうサトゥルヌス」「魔女のサバト」など
  • もとは「聾者の家」壁画、布に剥離し再構成

6.「快楽の園」ヒエロニムス・ボッシュ(1490-1500)

  • 第 56A 室、三連祭壇画 220 × 389 cm(開いた状態)
  • 左:エデンの園、中央:享楽の園、右:地獄
  • 細密幻想画の最高傑作

7.「アダムとエヴァ」ティツィアーノ(1550 頃)

  • カール 5 世皇帝の依頼

8.「カール 5 世の馬上肖像」ティツィアーノ(1548)

  • 1547 年ミュールベルクの戦い勝利を記念
  • 馬上肖像の規範形式を確立

9.「胸に手を置く騎士」エル・グレコ(1580 頃)

  • 無名の貴族、極端に長く伸びた指
  • 後の表現主義への遠い影響

10.「三美神」ピーテル・パウル・ルーベンス(1630-35)

  • 第 29 室、ルーベンス晩年の傑作
  • 右が画家の若妻エレーヌ・フールマンと推定

11.「ゲルニカ」ピカソ(1937、ソフィア王妃芸術センター所蔵)

  • プラド本館にはないが、徒歩 10 分のソフィア王妃芸術センターが所蔵
  • マドリード美術三角地帯で必ず合わせて鑑賞

12.「システィーナ礼拝堂のサンドロ・ボッティチェリ的素描」「マドリード写本」レオナルド

  • 素描・原稿は別館の蔵書展示

主な所蔵領域

領域主要画家
スペイン絵画ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコ、ムリーリョ、リベラ、スルバラン
イタリア絵画ティツィアーノ、ラファエロ、ティントレット、カラヴァッジョ
フランドル絵画ボッシュ、ファン・ダイク、ルーベンス、ブリューゲル
オランダ絵画レンブラント(少数)、ヤン・ブリューゲル
フランス絵画プッサン、クロード・ロラン、ヴァトー
ドイツ絵画デューラー「自画像」(1498)、クラナハ

歴代の収集者

  • カール 5 世皇帝(在位 1519-58):ティツィアーノ専属契約、フランドル絵画
  • フェリペ 2 世(1556-98):ボッシュ、ティツィアーノ、エル・グレコ
  • フェリペ 4 世(1621-65):ベラスケス専属、ルーベンス
  • カルロス 4 世(1788-1808):ゴヤを宮廷画家に
  • イザベル 2 世(1843-68):王立美術館を国民資産化

効率的な回り方

3 時間モデルコース

  1. 第 56A 室:ボッシュ「快楽の園」(30 分)
  2. 第 9A・10・12 室:ベラスケス、特に「ラス・メニーナス」(45 分)
  3. 第 24-25 室:ティツィアーノ・カール 5 世馬上肖像(20 分)
  4. 第 28-29 室:ルーベンス(20 分)
  5. 第 36-38 室:ゴヤ「マハ」「5 月 3 日」(30 分)
  6. 第 67 室:ゴヤ「黒い絵」(30 分)

マドリード美術三角地帯

美術館主な所蔵距離
プラド美術館15-19 世紀絵画、ベラスケス・ゴヤ
ティッセン=ボルネミッサ美術館13-20 世紀通史、私的コレクション補完徒歩 5 分
ソフィア王妃芸術センター20-21 世紀、ピカソ「ゲルニカ」徒歩 10 分

「アボノ・パセオ・デル・アルテ」共通券(39€)で 3 館訪問可。

訪問の実用情報

  • 住所:Calle de Ruiz de Alarcón 23, 28014 Madrid
  • 開館:月〜土 10:00-20:00、日・祝 10:00-19:00
  • 入場料:通常 15€、毎日閉館前 2 時間(月-土 18-20、日-祝 17-19)無料
  • 5 月 18 日(国際博物館の日)・10 月 19 日(プラド美術館創立記念日)他、年数日無料
  • 写真撮影:常設展は禁止(特別展も基本禁止)
  • 音声ガイド:日本語あり(5€)
  • 地下鉄:バンコ・デ・エスパーニャ駅・アトーチャ駅徒歩 7 分

まとめ|プラドを読む視点

  • スペイン王室 5 世紀の収集が核、世界最高峰の絵画専門美術館
  • ベラスケス・ゴヤ・エル・グレコのスペイン三巨匠+ティツィアーノ・ルーベンス・ボッシュ
  • マドリード美術三角地帯の中心、無料時間枠の活用が鍵

続けて ベラスケスとラス・メニーナスゴヤと黒い絵 を読むと、館内の鑑賞体験が立体的に深まります。