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イギリス– イギリスの美術史 –

イギリス美術ガイドの概要

イギリス(連合王国)は、ヨーロッパ大陸の主要な美術運動に対してしばしば独自の応答を返してきた地域です。中世写本装飾、宗教改革を経た肖像画文化、18世紀の風刺と風景画、19世紀のラファエル前派、20世紀のフランシス・ベーコン、そして1990年代のYBA(Young British Artists)まで、各時代に独自の声を保ち続けています。

本ガイドではイギリス美術を時代別に整理し、関連カテゴリ・タグへの導線を提供します。西洋美術カテゴリTOPもあわせて参照してください。

主要トピック

中世(5〜15世紀)

アングロ・サクソン期のリンディスファーン福音書、ケルズの書(アイルランドだが文化圏は連続)など写本装飾の高い達成があります。ゴシック期にはウェストミンスター寺院、ソールズベリー大聖堂などが造営されました。

テューダー朝・スチュアート朝(16〜17世紀)

ヘンリー8世の宗教改革で宗教絵画の伝統が断絶した後、宮廷肖像画が美術の中心になります。ハンス・ホルバイン(父)(ドイツ出身、英国宮廷画家)、ヴァン・ダイク(フランドル出身、チャールズ1世の首席画家)が、英国肖像画の規範を作りました。

18世紀 — ホガース・レノルズ・ゲインズバラ

ホガースは『当世風結婚』など連作版画で社会風刺を確立、レノルズはロイヤル・アカデミー初代会長として歴史画を志向、ゲインズバラは肖像画と風景画の融合を追求しました。三者は英国独自の市民社会向け絵画文化の基盤を作っています。

19世紀 — ターナー・ラファエル前派

J.M.W.ターナーとジョン・コンスタブルは、英国風景画を世界水準に押し上げ、後のフランス印象派にも影響を与えました。1848年結成のラファエル前派(ロセッティ、ミレイ、ハント)は、ラファエロ以前の精緻な写実とロマン主義的主題への回帰を主張し、世紀末象徴主義へと展開します。

20世紀 — モダニズムと戦後

ヘンリー・ムーアの彫刻、フランシス・ベーコンの実存主義的人物画、デイヴィッド・ホックニーのポップ的具象は、ヨーロッパ大陸とは異なる英国モダニズムの系譜を形成しました。1956年のロンドン現代芸術研究所(ICA)でのポップアート受容も重要です。

YBAと現代

1988年のサーチ主導『フリーズ』展を起点に、ダミアン・ハースト、トレイシー・エミン、レイチェル・ホワイトリードらYBA世代が国際的に台頭しました。テート・モダン(2000開館)と毎年のターナー賞は、現在のロンドンを世界の現代美術の中心都市の一つにしています。

代表作・代表事例

作品作家制作年所蔵
大使たちハンス・ホルバイン(子)1533ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
当世風結婚ウィリアム・ホガース1743ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
戦艦テメレール号J.M.W.ターナー1839ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
オフィーリアジョン・エヴァレット・ミレイ1851-52テート・ブリテン
ベラスケスの「インノケンティウス10世」習作フランシス・ベーコン1953デ・モイン美術センター
サメ(生きているものにとっての死の物理的不可能性)ダミアン・ハースト1991各館

技法・特徴

  • 水彩画:英国は18世紀から水彩画を独立したジャンルとして発展させ、ターナーで頂点に達した。水彩技法ガイド参照。
  • 風刺版画:ホガース以降、ジェームズ・ギルレイ、ジョージ・クルックシャンクと続く版画文化が、英国メディア美術の伝統を作った。
  • 風景画:コンスタブルの観察主義とターナーの大気表現は、19世紀後半のフランス印象派の準備として国際的影響を残した。
  • 戦後の身体:ベーコン、ルシアン・フロイド、ホックニーは、写真普及後の絵画の役割を「身体性の再発明」として模索した。

影響と後世

ターナーとコンスタブルは1820〜30年代にパリで紹介され、バルビゾン派・印象派の風景画に直接的な影響を与えました。ラファエル前派の細密表現は世紀末象徴主義(モロー、ベルギー象徴派)にも波及します。

戦後のYBA世代は、サーチギャラリー・テート・モダン・ターナー賞というインフラと結合し、現代美術を市場・メディア・公共美術館の三角形で同時に動かす英国独自のモデルを確立しました。

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続けてターナーの光の風景画バンクシーとストリートアートを読み比べると、19世紀の風景画革命と21世紀のストリート批評という、まったく異なる手段で「英国美術が外部に問いを発する」性格が、より具体的に理解できます。