森美術館完全ガイド|六本木ヒルズ最上階の現代美術館、コレクション・建築・年間100万人動員の話題展を読み解く
森美術館(Mori Art Museum、略称 MAM)は、2003年10月に 六本木ヒルズ森タワー(地上54階)の53階に開館した、日本を代表する 現代美術専門の私立美術館 です。
森ビル株式会社・故 森稔(1934–2012)の「文化を都市の中心に」という理念のもと、初代館長 デヴィッド・エリオット(前ストックホルム近代美術館長)が設立。2007年から南條史生が館長、2020年から 片岡真実(CIMAM 元会長)が館長を務めています。
都心の超高層ビル最上階に位置し、屋内展望台「東京シティビュー」(52階)と一体運営される独自の構造。世界的なアーティストの個展と アジアの現代美術 紹介を二本柱に、年4〜5本の企画展で 年間動員100万人超 を達成する、私立美術館の世界的成功モデルとして注目されています。
読みたい部分にスキップできます
美術館の基本情報
| 項目 |
内容 |
| 正式名称 |
森美術館(Mori Art Museum) |
| 所在地 |
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階 |
| 最寄駅 |
東京メトロ日比谷線 六本木駅 1C出口直結 |
| 開館 |
2003年10月18日 |
| 建築設計 |
森タワー:KPF(コーン・ペダーセン・フォックス)/内装:リチャード・グラックマン |
| 展示室総面積 |
約3,000㎡ |
| 所蔵作品 |
収蔵あり(非公開件数、寄託・購入を継続) |
| 運営 |
森ビル株式会社/森美術館 |
| 開館時間 |
10時〜22時(火曜日は17時まで、年中ほぼ無休) |
沿革と年表
| 年 |
事項 |
| 1986 |
森稔、六本木の大規模再開発構想開始 |
| 2000 |
六本木ヒルズの建設開始、美術館構想本格化 |
| 2002 |
初代館長デヴィッド・エリオット就任 |
| 2003 |
10月、森タワー竣工と同時に森美術館開館 |
| 2006 |
南條史生がアーティスティック・ディレクターに就任 |
| 2007 |
南條史生館長就任 |
| 2012 |
森稔死去、息子・森浩生が森ビル社長 |
| 2017 |
「N・S・ハルシャ展」「サンシャワー:東南アジアの現代美術」 |
| 2019 |
「塩田千春展:魂がふるえる」66万人で過去最高 |
| 2020 |
片岡真実館長就任 |
| 2022 |
「アナザーエナジー展」など連続話題作 |
| 2024 |
「ルイーズ・ブルジョワ展」「シアスター・ゲイツ展」 |
建築:六本木ヒルズ森タワー53階の美術館
- 森タワー(地上54階・地下4階、高さ238m)の53階全フロアを占有
- 1フロア展示室面積約3,000㎡、最高天井高8m
- 52階は屋内展望台「東京シティビュー」、屋上「スカイデッキ」
- 美術館・展望台・スカイデッキの一体券で来場体験を統合
- 展示室はリチャード・グラックマン(米国、ディア美術館設計)設計
- 非対称形状の展示室、可動壁・可変天井・吹抜部
森稔の構想と「文化都心」理念
- 森稔(1934–2012):森ビル創業者・元社長
- 「Vertical Garden City」構想:超高層と緑と文化の統合
- 「文化を都心の頂点に置く」六本木ヒルズの中核理念
- 美術館を「住宅やオフィスより上層階」に置く独自配置
- 2003年開業時に世界中の建築・都市計画者から注目
- 米国エイリオン・センター、上海・森ビル系の発展に継承
初代館長 デヴィッド・エリオット
- 英国出身、オックスフォード卒
- 1996–2001年ストックホルム近代美術館長
- 2002–2006年森美術館初代館長
- 「ハピネス」「ストーリーテラーズ」など開館初期の体系展示
- 国際的視野とアジア現代美術への先見性
- のち2008–2010年シドニー・ビエンナーレ ディレクター
南條史生館長期(2007–2019)
- 1949年生まれ、日本を代表する国際キュレーター
- 1986年ヴェネチア・ビエンナーレ日本コミッショナー
- 1997年トリノ・ビエンナーレ ディレクター
- 森美術館期:「アイ・ウェイウェイ展」「フランシス・ベーコン展」「カタストロフと美術のちから展」
- 「メタボリズム展」「シンプルなかたち展」「アンディ・ウォーホル展」
- アジアの現代美術への重点投資
片岡真実館長期(2020–)
- 1965年生まれ、CIMAM(国際美術館会議)会長を歴任
- 森美術館アシスタント・キュレーター→チーフキュレーターから昇進
- 「アナザーエナジー展」(2021–2022):70歳以上女性作家16人
- 「テート美術館展 光」「シアスター・ゲイツ展」
- ジェンダー・ポストコロニアル視点を強化
- 世界的キュレーター・ネットワークを活用
主要な企画展ベスト10
- 「ハピネス」(2003、開館記念)
- 「アジアン・ヘリテージ」(2004)
- 「アイ・ウェイウェイ展:何に因って?」(2009)
- 「メタボリズムの未来都市」(2011)
- 「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」(2014)
- 「サンシャワー:東南アジアの現代美術」(2017)
- 「カタストロフと美術のちから展」(2018)
- 「塩田千春展:魂がふるえる」(2019、66万人)
- 「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力 – 世界の女性アーティスト16人」(2021–2022)
- 「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から戻ってきたところ」(2024)
「塩田千春展」と動員記録
- 2019年6月20日〜10月27日
- 来場66万6,000人、森美術館史上最高
- 2019年に世界の現代美術館動員ランキング1位
- 赤い糸・黒い糸・キーで紡ぐ大規模インスタレーション
- 巡回後、各国でも記録的動員
「アンディ・ウォーホル展」と国際協力
- 2014年2月1日〜5月6日
- アンディ・ウォーホル美術館(ピッツバーグ)と全面協力
- 700点以上の作品、日本最大規模のウォーホル展
- 57万人来場、年間来場過去最高記録
- ウォーホル「タイムカプセル」初公開
「アナザーエナジー展」と70歳以上女性作家
- 2021年4月22日〜2022年1月16日(コロナで会期延長)
- 70歳以上で活動を続ける16人の女性アーティスト
- 三宅一生・草間彌生・アンナ・マリア・マイオリーノ等
- 年齢・ジェンダーを横断する革新的視点
- 21世紀の美術界における女性作家の再評価
収蔵・コレクション戦略
- 森美術館は公式に収蔵を行うが件数は非公開
- 森ビルコレクションと位置づけられる
- 大型インスタレーションの委託制作・購入
- アジア・中東・アフリカの現代美術への重点投資
- 東京シティビュー展示への一部循環活用
東京シティビューとの一体運営
- 52階「東京シティビュー」:屋内展望台(高さ250m)
- 屋上「スカイデッキ」:野外展望台(高さ270m)
- 展望料金と美術館入場料の共通券
- 夜は21時まで開館、夜景+現代美術の独自体験
- 火曜日のみ17時閉館、それ以外は22時まで
- 外国人観光客比率が高い(時期により30%超)
運営:森ビル株式会社のCSR
- 森ビルは株式非公開、森家オーナー企業
- 森美術館は森ビルの「文化貢献部門」
- 不動産事業利益の一部を文化事業に投入
- 採算は赤字基調だが企業ブランディングへの投資
- 森ビルの六本木・虎ノ門・上海プロジェクトの文化的基盤
六本木アート・トライアングルとの関係
- 森美術館+国立新美術館+サントリー美術館=六本木アート・トライアングル
- 3館共通券、共同プログラム
- 2007年六本木アートナイト開始
- 21_21 DESIGN SIGHT を加えて「デザインハブ」
- 2010年代以降の六本木文化集積の中軸
ミュージアムショップ・カフェ
- 展示連動グッズ・限定アイテムを展開
- 52階「マドラウンジ」:展望×バー
- 54階「THE SUN & THE MOON」:ファインダイニング
- 夜景+カクテルの大人向け文化体験
批評と国際評価
- 『Frieze』『Artforum』『ArtNet』で連続レビュー
- 『TIME OUT』東京美術館ランキング常連
- 2023年『Themed Entertainment Association』報告で世界の現代美術館動員上位
- アジア現代美術紹介の世界モデル
批判と課題
- 商業ビル内立地と美術館の独立性
- 収蔵・研究機能の非公開性
- 動員依存・話題重視の批判
- 都心立地ゆえの入場料の高さ
- 多文化発信と「日本の場」のバランス
訪問のおすすめ
- 夜の来館(17時以降)が空いていて夜景もセット
- 火曜日は17時閉館に注意
- 東京シティビュー+スカイデッキ+森美術館の3点セットで2〜3時間
- 同日に 国立新美術館・サントリー美術館を巡る
- 夕食をTHE SUN & THE MOONで予約
まとめ|森美術館を読む視点
- 2003年開館、六本木ヒルズ森タワー53階の私立現代美術館
- 森稔「文化都心」構想の象徴
- エリオット→南條→片岡の3代館長
- 「塩田千春展」66万人、「アンディ・ウォーホル展」57万人など動員記録
- 東京シティビューとの一体運営で年間100万人超
あわせて 戦後日本現代美術の全体像 や 国立新美術館、東京都現代美術館、21_21 DESIGN SIGHT を読むと、東京・六本木の現代美術ネットワークと森美術館の位置がより立体的に見えてきます。
あなたの意見を聞かせてください