このページは「ニューヨーク」(city-new-york)タグの全体ガイドです。ニューヨークは、20世紀後半以降世界の現代美術の首都として君臨してきた都市です。メトロポリタン美術館(MET)、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、グッゲンハイム、ホイットニーなど世界最高峰の美術館群を擁し、抽象表現主義・ポップ・アート・ミニマリズムの主要な拠点となりました。
ニューヨークと美術の関係
17世紀のオランダ植民地ニュー・アムステルダムに始まり、18〜19世紀には移民流入と商業発展で巨大都市化したニューヨークは、20世紀に米国アートの首都、戦後にはパリに代わる世界アートの中心となりました。1929年MoMA開館、1959年グッゲンハイム新館開館、1966年ホイットニー新館開館が現代美術都市としての制度的基盤を作りました。
- 1913年アーモリー・ショーでモダンアートが米国に流入
- 1940年代以降、亡命欧州作家とポロックら戦後ニューヨーク派が交差
- 1960年代以降、ポップ・ミニマル・コンセプチュアルの中心地
- 21世紀チェルシー・LIC・ハーレムなどギャラリー集積地が拡張
ニューヨーク美術の主要トピック
1. メトロポリタン美術館(MET)
1870年開館、世界最大級の総合美術館。古代エジプト・ギリシャ、ルネサンス、印象派、アメリカ絵画、現代美術、アジア美術、武器甲冑、衣装とあらゆる分野を網羅します。中央セントラルパーク東側の本館に加え、ザ・クロイスターズ(中世美術専門)も擁します。
2. ニューヨーク近代美術館(MoMA)
1929年にアビー・アルドリッチ・ロックフェラーらが設立、世界最高峰の近現代美術館。ピカソ『アヴィニョンの娘たち』、ゴッホ『星月夜』、モネ『睡蓮』、マティス『ダンス』、ウォーホル『キャンベル・スープ缶』、ポロック『One』など、20世紀美術の象徴的作品を所蔵します。
3. グッゲンハイム美術館
1959年フランク・ロイド・ライト設計の螺旋状建築で開館したソロモン・R・グッゲンハイム美術館は、近現代美術の重要拠点。カンディンスキー、シャガール、モンドリアンなどの欧州モダン、ベイ、ハチンソンらアメリカ現代を所蔵。世界各地のグッゲンハイム分館(ビルバオ、アブダビ等)の本拠地です。
4. ホイットニー美術館
1931年設立、20〜21世紀アメリカ美術専門の美術館。エドワード・ホッパー、ジョージア・オキーフ、ジャスパー・ジョーンズ、ジェフ・クーンズらアメリカ作家のコレクションが充実。ホイットニー・ビエンナーレは米国現代美術の動向を提示する重要展。2015年にレンゾ・ピアノ設計の新館へ移転しました。
5. アーモリー・ショーと近代美術の上陸
1913年のアーモリー・ショーは、欧州モダンアート(マチス、ピカソ、デュシャン、カンディンスキー)を米国に紹介した画期的展覧会で、米国近代美術の起点として位置付けられます。デュシャン『階段を降りる裸体 No.2』が話題を呼びました。
6. 戦後ニューヨーク派と抽象表現主義
第二次大戦中・戦後、欧州からモンドリアン、エルンスト、レジェ、ブルトンらが亡命し、ペギー・グッゲンハイム画廊「今世紀のアート」が新世代を後援しました。ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコ、デ・クーニング、バーネット・ニューマンらが抽象表現主義を成立させました。1950年代に世界アート首都がパリからニューヨークへ移行します。
7. ポップ・ミニマル・現代
1960年代のアンディ・ウォーホル・ロイ・リキテンスタイン・ジェームズ・ローゼンクイストのポップ・アート、ドナルド・ジャッド・ダン・フレイヴィン・カール・アンドレのミニマル、ソル・ルウィット・コスースのコンセプチュアル、ジャン=ミシェル・バスキア・キース・ヘリングのグラフィティと、戦後アートのほぼすべてがニューヨーク発で展開しました。
ニューヨークの主要美術施設
| 施設 | 分野 | 特徴 |
| メトロポリタン美術館 | 総合 | 古代〜現代、200万点超 |
| MoMA | 近現代 | ピカソ、マティス、ゴッホ |
| グッゲンハイム | 近現代 | ライト設計螺旋建築 |
| ホイットニー | 米国現代 | 20〜21世紀アメリカ美術 |
| フリック・コレクション | 欧州古典 | レンブラント・フェルメール |
| ノイエ・ガレリー | 独墺モダン | クリムト『アデーレ』 |
| ザ・クロイスターズ | 中世 | METの中世美術別館 |
| ブルックリン美術館 | 総合 | 米国第二の総合館 |
| ニュー・ミュージアム | 現代 | 新進作家中心 |
| クイーンズ美術館 | 地域 | 世界博パビリオン |
| MoMA PS1 | 現代 | クイーンズ別館 |
| ディア:ビーコン | 大型現代 | 近郊・大型ミニマル作品 |
ニューヨークの美術地区
- チェルシー:ガゴシアン、デイヴィッド・ツヴィルナー、ハウザー・アンド・ワース
- ロウアー・イーストサイド:若手・実験ギャラリー集積
- ハーレム:スタジオ・ミュージアム、黒人美術中心
- ブルックリン:DUMBO、ブッシュウィックの作家工房
- ロング・アイランド・シティ:MoMA PS1、サクストン・ノースなど
- マディソン・アヴェニュー:ホイットニー旧館跡(現MET Breuer跡地→Frick)
影響・現代の動向
ニューヨークは、世界最大のアート市場・最も多様なギャラリー・最高の美術館を擁し、現代美術の方向性を継続的に発信しています。21世紀にはアジア・中東からの作家・コレクター流入、若手アジア系・ラテン系・黒人作家の台頭、NFT・デジタルアートの市場形成など、グローバル化と多様化が進行しています。一方、家賃高騰によるアーティスト・スタジオの郊外移転、美術館の脱植民地化議論も活発です。
ニューヨークを深める関連記事
続けて抽象表現主義タグとウォーホルタグを読むと、ニューヨークが戦後世界のアート首都となった経緯が立体的に把握できます。